イエスの純福音・無教会の精髄・第二の宗教改革へ
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最終更新日:2024年12月7日
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* * * *
8.ワクチンによる集団免疫とパンデミック終息
8-①
ワクチン接種者個人については、ワクチンの有効性は明らかであるといえよう。
しかしワクチン接種は、集団免疫による国家レベル、世界レベルでの新型コロナの終息、つまりパンデミック終息に有効なのか。
この問いに対する答えは、接種が最も進んでいるイスラエルや英国にある。
8-②
イスラエルでは、感染者(80%が英国変異株)が増え始めていた2020年12月19日にワクチン接種を始め、同時にロックダウン(都市封鎖)を続けた。
その結果、1ヶ月後に高齢者の約8割が1回目の接種を終えた頃から新規感染者が減少し始め、2月から徐々にロックダウンを解除し、3月始めには大部分の経済活動を再開。
1月には新規感染者が1日1万人を越える日もあったが、4月中旬には200人近くに減り、4月18日には屋外でのマスク着用は任意とした。
5月30日には新規感染者は1日わずか4人まで減り、イスラエル政府は6月1日から新型コロナを巡るほとんどの行動制限を解除した。
ただし同国保健省は、変異株対策として流行国からの渡航制限は維持し、新型コロナが再び拡大した場合は「制限を戻す」と述べている(毎日新聞)。
世界で最も早期から、最も大規模にワクチン接種を進めたイスラエルは、いち早く暗いトンネルから抜け出して、アフター・コロナ(コロナ後の社会)を実現つつある。
ワクチン接種が新型コロナ流行終息に非常に有望であることが、リアルワールドで実証されつつあると言えよう。
8-③
また、英国でもワクチン普及と1月以降のロックダウンにより、新型コロナ感染者数、死者数とも急速に減少した。
2021年初めには死者千人超の日もあったが、英政府は6月1日、死者数がゼロだったと発表した。
コロナ死者数ゼロは昨年の3月以来であり、ワクチン接種が進む英国の状況改善が示されている。これにより6月21日から、人口の大半を占めるイングランドで規制解除の方針が発表された(ロンドンAP=共同)。
しかしその後、ワクチン接種をしていない若者を中心にインド変異株(デルタ株)の感染が拡大し、規制解除の延期が決定された。
接種の進展が不十分な国々もある現状に対し、WHO欧州地域ハンス・クルーゲ事務局長は、「パンデミックは人口の70%以上がワクチン接種を終えるまでは収束しない」と警告した(5/29 AFP)。
8-④
なお、280の高齢者施設を対象とした米国の調査で、ワクチンによる集団免疫効果が明らかとなった。
(White EM, The New England Journal of Medicine May 19,2021, 福岡大学医学部免疫学講座HP 参照)
調査対象は、ワクチン接種を1回以上受けた18,242人と、ワクチン未接種の3,990人(80.4%はファイザー社製、19.6%はモデルナ社製mRNAワクチンを使用)。
結果は、接種者の新型コロナ感染は、1回目接種から14日以内で4.5%、15日から28日目で1.4%、2回目接種後14日以内で1.0%、14日目以降で0.3%と大きく減少した。
また感染しても、ほとんどが無症状で経過した(つまり、重症化を予防)。
喜ばしいことに、他の人が2回目ワクチン接種を終えて42日目以降、接種を受けていない高齢者の感染率も44.3→0.3%へと激減した。
この調査から、82%の人々が接種を受ければ、集団免疫を充分、誘導できる(=集団全体の感染を充分、抑制できる)という科学的根拠が示された。
米国において確認されたワクチンによる集団免疫効果は、「ワクチン接種が、集団免疫による国家レベル、世界レベルでの新型コロナの終息、つまりパンデミック終息に有効である」との強力な論拠の一つとなりうる。
9.mRNAワクチンは英国株、インド株にも有効
9-①
新型コロナ・パンデミックから1年余り。
新型コロナウイルスは全世界で1億7,072万人に感染し(6/1 米ジョンス・ホプキンズ大学の集計)、感染者一人ひとりの中で自己複製・増殖を繰り返してきた。
その過程で、多くの手ごわいコピーミス(=変異株)が生まれた。
2021年5月末現在、日本では英国株(N501Y変異)が約90%を占めているが、今後インド株(L452RとE484Qの二重変異)への置換と同株の流行が強く懸念されている。
その他の変異株として、N501YとE484Kの二重変異を有する南アフリカ株やブラジル株もある。
9-②
これらの変異株に対して、mRNAワクチンは有効なのか?
横浜市立大・山中竹春教授(臨床統計学)は、8種の変異株について、ファイザー製のワクチンを2回接種した医療従事者105人について研究を行い、その結果、どの〔変異〕株についても、9割を超える人が中和抗体陽性(=抗体がある)となったと報告した。
具体的には、英国株に対し94%、インド株に対し97%、最も効果が低かった南アフリカ株に対しても90%有効であることがと判明し、「〔現時点で確認されている主要な変異株による〕集団免疫に対して、〔mRNAワクチンの〕極めて期待の持てる結果ではないかと考えている」と述べた(5/12 MBS NEWS)。
なお、アストラゼネカ製のワクチンは南アフリカ株には効かないと言われている。
9-③
英国株流行下のイスラエルと英国においてmRNAワクチン接種により流行が劇的に抑制されたこと、また最近の英国でのインド株流行がワクチン非接種者中心に起きた(=ワクチン接種者ではインド株の流行がない)こと。
これらの事実からも、英国株のみならず、インド株に対してもmRNAワクチンが有効である可能性が強く示唆されているといえよう。
10.公衆衛生学的予防策の限界
10-①
山小屋やシェルターに一人でこもりでもしない限り、現代社会において人との接触を完全に断つことは不可能である。
このことは、ウイルスの感染力が強くなった場合、従来の感染予防策(公衆衛生学的予防手段)だけでは、ウイルスに太刀(たち)打ちできないことを意味する。
このことを端的に示しているのが、台湾の状況である。
10-②
2019年12月武漢で原因不明の肺炎流行との情報をいち早く入手した台湾は、1月早々、中国大陸との人々の往来を停止、徹底した水際対策、国民への効果的なマスク配布、IT活用による感染諸対策等の洗練かつ徹底した公衆衛生学的対策によって、長らく世界の優等生であった。
そのせいか台湾では、最近までワクチン接種が遅れ、5月末の時点で1回目の接種を受けたのは、全人口の1%台にすぎなかった。
その台湾が今、新型コロナの感染拡大に苦しんでいる。
5月初めまで新規感染者数を1日5人以下に抑え込んでいたが、5月中旬から感染者数が急速に増加し、5月28日までの1週間平均で1日約600人と120倍に増加した。
このことは、もはや公衆衛生学的対策のみでは、変異株による感染拡大の阻止は非常に困難であることを物語っている。
このため台湾はワクチン接種の積極的推進に舵(かじ)を切り、ファイザー/独ビオンテック製mRNAワクチン購入に動いたが、中国は台湾の購入計画を妨害すると同時に中国製ワクチン提供の意向を繰り返し表明するなど、蔡(さい)政権に揺さぶりをかけた(5/30信濃毎日新聞朝刊)。
その他ベトナムやマレーシアも、台湾と同様の状況に見舞われている。
10-③
一方チリでは、中国シノバック製ワクチンの1回接種率が40%に達した頃から国民の警戒が緩(ゆる)み、感染予防策が守られなくなって、感染が再び拡大した。
再拡大は、中国シノバック製(従来の技術による不活化ワクチン)の有効性が乏しい(ブラジルでの治験では、有効性50.4%:ロイター 2021年1月13日報道)ことも要因の一つと考えられるが、いずれにせよパンデミック終息には、ワクチン接種に加えて感染予防策の併用が重要であると言われている。
つづく
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