イエスの純福音・無教会の精髄・第二の宗教改革へ
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最終更新日:2024年12月7日
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パンデミック対策 003
2021年6月9日更新
鳥海ヨシヲ
医学博士
新型コロナ流行の終息を目指して①
-新型コロナワクチンを巡る重要情報-
以下の文章は、一般の方々を対象にした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と新型コロナワクチンの総説(レビュー)である。
* * * *
1.新型コロナのリアルと向き合う
1-①
2019年12月に中国・武漢市で始まったとされる新型コロナ・パンデミックは今なお、猛威を振っている。
特にインドやブラジルに広がった光景は、目を覆(おお)うばかりである。
2021年5月、インドの新規感染者は1日40万人を超え、死者も連日3,000人を超えた。
医療は崩壊し、治療を受けられずに亡くなる人が相次いだ。死者の急増で火葬は追いつかず、路上に遺体が並べられている所さえあった。
(「“感染爆発”のインド 駐在記者の想像を絶する深刻さ」NHKニューデリー支局・太田雄造記者、5月7日)
1-②
その一方で、イスラエルや欧米諸国など、新型コロナの新規感染者数が劇的に減少し、様々な行動規制が撤廃されて、日常生活が戻りつつある国々もある。
「その差は一体、どこにあるのか?」
「日本の流行は、今後どうなっていくのか?」
「私たちは、どう行動すべきか?」
「新型コロナワクチンの安全性や効果は、どうなのか?」
「ワクチン接種は、受けるべきか?」
私たちは様々な問いの前に立たされ、正しい判断と適切な行動を求められている。
1-③
眼前に広がる出来事が理解不能で見通しがきかず、様々な憶測(おくそく)が飛び交(か)うとき、人は大きな不安に曝(さら)される。
そのような状況に直面した時、少なからぬ人々が不安から逃れるため、断定的な言説(げんせつ)- 事態を単純に図式化し、迷わず行動を律してくれると思えるもの -に、飛び付く。
陰謀(いんぼう)論などは、その典型であろう(注1)。
しかし、人がどのような「確信」を持とうとも、事態に即(そく)して正しく行動できなければ、状況が悪化するのは必定(ひつじょう)である。
先入観は心の眼を曇らせて視野狭窄をもたらし、判断を誤らせるからである。
歴史的にも、また現代においても、そのような事例の枚挙に暇(いとま)がない。
1-④
このような時こそ、私たちは先入観を捨て、事実を冷静・客観的に見つめて、事実が我々に語りかけるものに耳を澄ませたい。
つまり学問的・科学的な精神を大切にしたい(注2)。
その上で、現時点で私たちにできる最善は何かを考えて、適切な行動に移したい。
一方、人間のすることに「絶対」はない。
誤りに気づいたときには、直ちに軌道修正する、柔軟さと謙虚さ。これが非常に大切である。
本論考は、新型コロナの諸問題をできるだけ客観的にとらえることができるよう、関連分野の様々なデータを提示し、読者の判断に資することを目指す。
ただし紙面の制約もあるので、更に詳しく調べたい読者は参考文献等を参照されたい。
2.専門研究者ないし研究機関発表データの信ぴょう性
2-①
たまたま筆者は医学学会に属し、学術総会等で世界トップレベルの研究者の招待講演を拝聴する機会に恵まれている。
講演を通し筆者は、研究者の地道で誠実な科学的真理探究の姿に触れ、しばしば心打たれる。
2-②
また科学論文、特に医学論文においては、客観的なデータに基づいて論理的・合理的に議論が展開されることが決定的に重視される。
いかに緻密(ちみつ)な理論や考えであっても、それを裏付ける客観的なデータが無ければ、それはあくまでも「仮説」に過ぎない。
また、データ自体も科学的(医学的)に妥当(だとう)な手法によって得られたものでなければならない。
上記の基本的要件を満たさない論文は、事前審査における評価の対象外となり、「学術論文」として医学雑誌に掲載されることはない。
万が一、論文掲載後にデータの不適切な操作やねつ造が発覚した場合、掲載論文は取り消され、以後、その研究者はあらゆる医学雑誌への論文投稿ができなくなる。学会からも除名される。
つまり、研究者としての道を断たれる。
2-③
このような厳しいルールによって科学的真理(真実)を探究し、世界を相手に鎬(しのぎ)を削っているのが医学研究の現場である。
したがって責任をもって、ある分野の正確な情報を得ようとする場合、発表されている研究成果(学術論文)を無視することは許されず、それは時に、致命的でさえある。
当然、研究論文の質にも高低がある。また医学研究も人間の業(わざ)である以上、絶対的に正しいということはない。
不正はなくとも、その後の学問の進歩や検討によって、研究論文の方法、結果などが誤りであることが判明する場合がある。
逆に、発表当時は注目を集めなかった論文や発表データの意義が、後になって大きく注目されることもある。
いずれにせよ、未解明の部分は圧倒的に多い。それゆえ、わずかな疑問であっても無視せずに、その解明に努める。
そして、一歩前進する。その繰り返しが科学(医学)研究であろう。
新型コロナの状況は刻々と変わり、研究も日進月歩である。
これを踏まえ本論考は、学術論文として医学雑誌へ掲載前の、各専門家および研究機関よるメディア発表データ、論考を多数、採用していることをお断りしておく。
3.流行第4波とその後は?
3-①
日本では5月21日から、東京・大阪・兵庫・愛知・北海道等に加え、沖縄県にも緊急事態宣言が発令され、合計10都道府県に及んでいる。
また、まん延防止等重点措置が群馬・埼玉・千葉・神奈川等の8県に適用されている。
流行は大都市から地方に拡大しつつあり、5月下旬には、特に北海道では新規感染者が5日連続で600人を超えて、全国最多と報道された。
第4波流行拡大の要因として、緊急事態宣言等によっても人流が十分抑制されず、また流行の主体が、従来株より感染力の強い英国変異株(アルファ株)に約90%置き換わったことが指摘されている。
3-②
筑波大・倉橋節也教授(予測シミュレーション研究)は、過去の流行パターンや行動抑制、ウイルス特性(英国株)等のファクターを考慮し、東京都の今後の流行をシミュレーションしている。
シミュレーションによると、日本では新型コロナワクチン接種が遅れたため、ワクチンの効果が出てくるのは、数ヶ月先、下手をすると半年くらい先になる。
4月からの第4波はワクチンでは中々、防げない。
このまま経過すれば、流行は一旦下火になっても、8~9月から再び増加し第5波を迎える。10~11月、1日新規感染者数は2,000人以上となる。
一方、「6~7月にキチンとワクチンを打てば、年末には新規感染者数は下がってくるのではないか」。
「しかし、この(英国株のN501Y)変異によって、重症化率が高くなると言われているので、それを考えると〔シミュレーション上の〕年末の下がり方は決して安心できるような下がり方ではない」。
なお、倉橋教授はこうも述べる。
「予測シミュレーションは必ずこうなるという決定論的なものではない。こういう手を打つと最悪こうなる、別の手を打つともう少し良くなる、ということを検証するためのシミュレーションである」と(4/15NHKスペシャル「全論文解読2 AIで迫る終息への道」)。
つづく
♢ ♢ ♢ ♢
注1 ワクチン陰謀論
☆東洋経済ONLINE 真鍋 厚「ワクチン陰謀説を信じる人を強く煽る恐怖の正体」へ
注2 学問的精神=真理探究の精神
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