イエスの純福音・無教会の精髄・第二の宗教改革へ
― まごころで聖書を読む。そして、混迷の時代を神への信頼と希望をもって、力強く前進する ―
We read the Bible with all our hearts. And we move forward powerfully in this era of turmoil with trust and hope in God.
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最終更新日:2024年12月7日
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<本の紹介<お知らせ
紹介・書評 006
2017年4月6日改訂
評者・小舘美彦
島崎輝久著
『マタイ福音書と現代』
証言社、2016年10月完結、全10巻26,000円(税、送料込)
島崎輝久(てるひさ)氏は、キリスト証言集会責任者、月刊誌『証言』主筆、福井大名誉教授
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良書紹介
島崎輝久著『マタイ福音書と現代』(10)最終刊
第10巻・最終巻のみの本体価格:2,500円
キリスト教横浜集会
小舘美彦
史的(してき)イエスについて書いた本や注解書は少なくない。しかし、その多くはイエスを人間の側に引き下げた、しらけるような内容である。
ところが、この最終巻を含む『マタイ福音書と現代』全10巻は全くそうではない。
史的検証を重ねつつ、正面から神の子イエスに肉薄していく。実在したであろうイエス像に迫り、そこに神の子としての証を見出していくのだ。これくらい心を躍(おど)らせることが他にあるだろうか。
そう、本書の第一の魅力は正しく史的神の子と出会う醍醐味(だいごみ)である。
著者は、謎を解きながら犯人像を洗い出す探偵のようにイエスの実像を洗い出す。読む者はまるでミステリーでも読んでいるような気分にさせられる。
しかし、読み終わったときの感動はミステリーの比ではない。
なぜならそのときに明らかにされるのは凶悪な犯人像ではなく、全(まった)き神の子の人間像なのだから。
この事は必然的に本書の第二の魅力を呼び込む。それは既成の宗教的概念からの解放である。
行為義認(ぎにん)論、信仰義認論、刑罰代受説、終末論…。これらは歴史において確かに重要な役割を果たしてきた。
しかし、今ではどうか。それらはむしろ人類共存や平和実現への足かせとなっているのではあるまいか(注1)。
この注解書を通して立ち現れる史的神の子はこれらの概念の欠陥を浮き彫りにし、読む者の心に清新な霊的自由の息吹を吹き込んでくれる。
しかし、なんと言っても本書の最大の魅力は、戦争やテロ、民族対立や宗教対立、自然破壊といった現代の最も困難な問題に対して明確な解決の指針を与えてくれるところだ。
この書の明らかにする史的イエスが神の子としてのリアリティーを備えている根本的理由はまさにこの点にある。
神の子とはどのような存在か。それは私たちの未来に確かな希望を示し、その実現へと導いてくれる存在ではないか。
この書の明らかにするイエス像はまさしくそのような存在である。
私一人が絶賛してもあまり説得力はないであろうから、最後に有識者の評を紹介して終わろう。
京都大学名誉教授〔キリスト教学〕の水垣渉氏は本書の完成の報に接して「天地をつなぐ光を轟(とどろき)とともに観(み)た思いがしました」と述べ、本書とともに「福音の正味が光と轟をもってこの国にやってきた」と評している。
また、大阪市立大学名誉教授の佐藤全弘氏は「本書10巻は、・・・つねに現代を考察の中心に置き、・・・全人類の危機的状況を、全人類史的展望のもとに反復確認し、福音書から今何を学ばなければならぬか、救いはどこにあるかを明示している」と述べ、さらに「この10巻の注解書は著者が20年以上の時を費やし、熱き祈りをこめ、厳しき学びを尽し、こ視座を外すことなく、主の守りの内に書きつづられたものである」と評している。
本書を通して一人でも多くの者が史的神の子と出会い、その命の光に触れることを心より望む。
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(季刊『無教会』書評)
注1 刑罰代受説の問題点
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