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わが子との再会を祈るようにして待つ母

​(舞鶴引揚記念館HPより

* * * *

南の川のごとくに

 

〔神〕ヤハヴェよ、われらの捕虜(とらわれびと)を連れ帰って下さい。〔南の〕ネゲブの川〔に水の流れを導くか〕のごとくに」

(詩篇 126篇4節)

 

* * *

 

太平洋戦争終結後、海外に残された旧軍人を乗せた〕復員〔輸送〕船が中国から、また南方〔の島々〕から帰ってくる。

 

そして心配していたわが子、わが夫を〔神〕ヤハヴェが〔われらの許(もと)に〕返して下さった時、まことに〔感謝の〕歌はわれらの舌に満ち、〔喜びの〕笑いはわれらの口に満ちる。

 

そればかりか、戦死と公表され〔てい〕た者までが、ひょっこり〔日本に〕帰って来て、われらを〔心底〕驚かせる。

その時われらは、全く夢見る者のようになり、〔神〕ヤハヴェがわれらのために為(な)してくださった大いなる恩恵のゆえに、われらは〔小躍りして〕喜ぶ。その喜びは、筆舌(ひつぜつ)に尽くすことができないほどである。


しかしまた、帰らぬ夫、帰らぬ子を待つ家庭も少なくない。

南の〔ネゲブの〕川が砂漠の砂の中に消えて尻無川(注1)となるように、わが夫、わが子の姿は待っても帰らず、ヤハヴェが彼を〔地上から〕取〔り去〕られたので〔、その姿は〕見えなくなったのである。

 

それでもわれらは、今日もまた彼が帰る〔のではない〕かと思って、「ヤハヴェよ、われらの捕虜(とらわれびと)を連れ帰って下さい。〔南の〕ネゲブの〔に水の流れを導くか〕のごとくに」と祈りつづける。


聞き届けられることのない、この祈りを祈りつづける〔老いた〕親や未亡人や遺児(いじ)と共に、われらは泣く。

しかし実のところ、この祈りは〔決して、神に〕聞き届けられない祈りではないのである。

神は確かに、この祈りを聞き届けて下さる!〕。

 

復活の(あした)、ヤハヴェは、われらの捕虜(とらわれびと)〔である夫を、子を、父〕をわれらに返して下さるであろう。

死んで、無限の彼方(かなた)に行ってしまったの〕だと思っ〔てい〕た者が、輝く〔栄光の〕復活体をもって〔われらのもとに〕帰って来る時、真(まこと)に笑いはわれらの口に満ち、歌はわれらの舌に満ちるであろう。


砂漠の川は砂の中に消えても、地下水となって〔、ついには〕オアシスに湧き出る。

人が世にあって流す涙は、苦難と悲哀(ひあい)の濾過(ろか)装置をくぐればくぐるほど、清き水となってたましいを潤(うるお)す。

その水は、〕ただ自分のたましいを潤すだけでなく、自分と同様の悲しみをもつ多くの人々を癒(い)やす泉となるのである。


復活こそ、〔神〕ヤハヴェがわれらのために為(な)してくださる最大最終の「大(おお)いなる事」である(注2)

その希望を抱(いだ)いて生きる者は、涙と共に〔種〕(ま)くけれども歓喜と共に収穫し、涙を流して出てゆくが〔実りの〕禾束(たば)を携(たずさ)えて喜んで帰り来る〔詩篇 126篇5、6節参照〕。


死別、生別、これは果して夢か現実(うつつ)か。

しかし、人生にあって唯一、真実なるものは永遠の生命(いのち)であり、永遠の生命に生きる復活の信仰こそ、唯一、真実の人生である

 

悲哀(ひあい)中にある兄弟姉妹よ、この〔復活の〕信仰により互いに慰さめ〔、励まし〕なさい(注3)


 

♢ ♢ ♢ ♢

(1946〔昭和21〕年3月『嘉信』第9巻第3号を現代語化。( )、〔 〕内は補足。下線は引用者による)


注1 尻無川(しりなしがわ)
下流に行くに従って分流し、幅の小さくなる河川
(かせん)のこと。

注2 イエスよって罪と死を除かれ、完成した新天新地(新宇宙)を待望する讃美歌

讃美歌453番「聞けや愛の言葉を」クリックしてYou Tubeへ

 

聞けや、愛の言葉を

 

1.

聞けや愛の言葉を、諸国人(もろくにびと)らの
罪咎
(つみとが)を除く 主の御言葉(みことば)を、
主のみことばを。

 

*おりかえし
やがて時は来たらん、神の御光(みひかり)
(あまね)く 世を照らす明日(あした)は来たらん。

 

2.

見よや救いの君を、世のため悩みて
(あがな)いの道を 開きしイエスを、
贖いの道を 開きしイエスを、
開きしイエスを。

 

*おりかえし

 

3.

歌え声を合わせて 天地(あめつち)と共に、
喜びに満つる 栄
(さか)えの歌を、
さかえのうたを。
 
*おりかえし

 

現代語訳

1.聞け、愛の言葉を、諸国民の
罪咎
(つみとが)を〔取り〕除く 主〔イエス〕の御言葉(みことば)を、
主の御言葉を。

 

*おりかえし
やがて時は来る、神のみ光が
(くま)なく世〔界〕を照らす明日(あした)は来る。

 

2.

見よ、救いの王〔イエス〕を、世の〔救いの〕ために苦しみ〔つつ〕
〔世の罪の〕贖
(あがな)いの道を 〔切り〕開いたイエスを、
開いたイエスを。

 

*おりかえし

 

3.

歌え、声を合わせて 天地〔宇宙のすべて被造物〕と共に、
喜びに満ちた 〔神の〕栄光の〔讃〕歌を、
栄光の〔讃〕歌を。

*おりかえし

( )、〔 〕内は補足

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