日々のかて009〖隠れた力を見出す人〗
イエスは、人間の力と美を見抜く能力を持っておられた。
イエスは、ペテロのような激情の人の中にエクレシア(信仰共同体)の柱石を見た。
また、ヤコブとヨハネの兄弟には「雷の子」というあだ名があり、激しい気性の人たちだった。しかしイエスは、彼らにエクレシアの支柱になる人物を見出した。雷の子は「愛の使徒」となったのである。
トマスは、徹底した懐疑家だった。しかし、イエスは彼をご自分の片腕に選んだ。
ザアカイは、エリコの徴税人(ちょうぜいにん 注1)の頭(かしら)で、人々から《罪人(つみびと)》と呼ばれ、皆に嫌われていた。しかしイエスは、彼の家に泊まられた。
社会から「裏切り者」と呼ばれた、マタイのような徴税人を仲間に加えた者はいなかった。しかしイエスは、彼を自分の弟子にした。
■イエスは、どんな人間の中にも隠れた力と美しさを見出す人だった。
そして、イエスはすべての人の魂の中に眠っている勇者を覚醒させる力を持っておられた。
祈り 《主よ、わが身をあなたにお捧げします。
どうか、私の中の隠れた賜物(たまもの)を見出し、御用(ごよう)のために用いてください。
私もまた、主に倣(なら)って、隣人の隠れた力と美を見出すことができるよう、お導きください。アーメン。》
(参考文献 D.Duncan: Every Day With William Barclay Devotional readings for every day,1973)
注1 徴税人(ちょうぜいにん) ローマ帝国の支配下にあったユダヤでは、民衆が払うローマへの税金の徴収を個人的に請け負ったのが、《徴税人》と呼ばれるユダヤ人たちであった。 彼らは、不当に多くを取り立てて、私腹(しふく)を肥やしていた。
厳格なユダヤ人にとって徴税人は「人殺し、盗賊」と同類であった。彼らは人々から「売国奴、裏切り者」として憎まれた。反ローマ闘争を戦った政治宗教集団の《熱心党》にいたっては、徴税人を暗殺対象として狙っていた。
宗教的には、徴税人は、神の《律法》を知らない《異邦人》と等しい者とされ、《汚れた者》、《罪人》として差別された。彼らは、神を礼拝することも許されなかった。
(参考文献:『聖書人物伝』いのちのことば社、2013年。『図説 聖書人物記』創元社、2009年。W・バークレー『イエスの弟子たち』新教出版社、1967年)
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