日々のかて004〖成功の秘訣〗(現代語訳、原文付)
成功の秘訣
大正15(1926)年7月28日、〔軽井沢〕星野温泉若主人(注1)のために書いたもの
66翁 内村鑑三
(1) 〔主体的立場を確立し、〕自分の足で立つこと。他人に頼ってはいけない。 (2)〔事業の根〕本を固めること。そうすれば、事業は自ずから発展する。
(3)〔慎重に事を進め、〕急いではならない。自動車なども、なるべく徐行すること。 (4)成功本位の米国型経営をまねてはいけない。誠実本位の日本型経営を手本とすること(注2)。 (5)無駄遣いは罪悪である、と知ること。 (6)天(神)の命(めい)に聴き従って、行動すること。自ら自分の運命を作ろうと思ってはならない。 (7)使用人は兄弟と思うこと。客人は家族として扱うこと。 (8)誠実によって得た信用は最大の財産である、と知ること。 (9)清潔、整頓、堅実を大切にすること。 (10)人が、もし全世界を儲(もう)けても、〔その代償として〕自分の霊魂を失ってしまえば、何の利益があろうか。人生の目的は、金銭を得ることではない。〔自らの〕品性を完成することである。
以上
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(内村鑑三「成功の秘訣」1926年7月を現代語化、〔 〕、( )内は補足)
注1
2代目経営者、星野嘉助氏。
注2
星野リゾート代表の4代目経営者・星野佳路氏は、経営に行き詰まった旅館を引き継ぎ、改装とサービスの徹底で再生させ、家業の急成長を果たした。
佳路氏は、大資本・市場原理主義の米国型の経営学に対するアンチテーゼ〔対抗構想〕として、ファミリービジネス経営学を提唱、実践し注目されている(参考文献:森永卓郎「読まずにはいられない 米国型経営へのアンチテーゼ」『アエラ』朝日新聞出版社、2014年4月14日号)
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原著
大正15年7月28日、星野温泉若主人の為に草す 成功の秘訣
66翁 内村鑑三
一.自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
一.本(もと)を固(かと)うすべし、然(しか)らば事業は自(おの)ずから発展すべし。
一.急ぐべからず、自働車の如(ごと)きも成るべく徐行すべし。
一.成功本位の米国主義に倣(なら)ふべからず。誠実本位の日本主義に則(のっと)るべし。
一.濫費(らんぴ)は罪悪なりと知るべし。
一.能(よ)く天の命(めい)に聴(き)いて行ふべし。自から己(おの)が運命を作らんと欲(ほっ)すべからず。
一.雇人(やといにん)は兄弟と思ふべし、客人は家族として扱ふべし。
一.誠実に由(よ)りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
一.清潔、整頓、堅実を主とすべし。
一.人もし全世界を得るとも其(その)霊魂を失はば何の益あらんや。人生の目的は金銭を得るに非(あら)ず。品性を完成するにあり。
以上
( )内は補足
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